クラウド・エッジ戦国時代


クラウドと実世界を結び付ける役割=エッジ

クラウドサービスの多くは、不特定多数のユーザーが利用するインターネットを経由して提供されます。そのため、クラウドサービスを利用する機器(PC/スマホ/IoTが組み込まれた家電など)とクラウドサービスの間では、必ず通信が発生します。機器が収集したデータを元に、クラウドサービス上ですべての処理を行う場合、サービスが必要とするデータを一旦すべてクラウドに送らなくてはなりません。そこには、通信量が増えることや、通信時間が増えることによる応答時間低下などの問題が潜んでいます。解決策として、機器あるいは機器に近い場所でデータの加工や、機器で完結可能な範囲での応答処理を行い、それ以外の部分をクラウドサービス上で行うようなシステムの組合せ(=アーキテクチャ)が必要となります。この「機器で完結可能な処理」がエッジ処理に当たります。

 

エッジが必要とされる3つの理由

エッジをうまく活用することには、大きく以下の3つのメリットがあると誌面では説明されています。

通信量の削減

例えば監視カメラの画像から、人の動きを追跡するようなクラウドサービスを利用する場合、一定間隔の画像データをクラウド側に送信する必要があります。送る画像は決まった位置から撮影した画像なので、大部分は動きがありません。当然動かない部分の画像送信は無駄という事になります。こういった場合に、エッジ内で画像を解析し、動きのある部分のみを送信することで、大幅な通信量削減が可能になります。

セキュリティ

例えば収集したデータに個人を特定可能な情報が含まれる場合、そのままクラウドサービスに送信することがセキュリティリスクとなります。例えば、監視カメラの映像に映った人の顔を機器側でフィルタ処理することで、情報漏洩時のリスクを最小限に抑えることができます。

低遅延

自動車の危険予知のような素早い制御が必要なシステムでは、クラウドから危険予知の結果を待って機器を制御するのでは間に合いません。予知に必要な基礎情報をクラウドサービスから随時収集し、素早い応答が求められる処理をエッジ内で処理を行う事で、低遅延が求められる機器にもクラウドサービスを活用できるようになります。

 

サービス設計における最重要ポイントとは

IoTを活用した製品やサービスは、①ユーザーと接する機械、②機械の裏側で動くIoT機器、③IoT機器と通信するクラウドサービスの3つが相互に絡み合いながら動きます。IoTを用いた製品やサービスを設計するに当たっては、この3つの明確な責任分担が最重要です。

前述の通信量やセキュリティなど様々な制約を漏れなく整理しながら、妥当と思われる構成を設計する必要があります。責任分担を後から変えることは大きな損失となるので、スモールスタートする場合でも最終的な姿を前提とした設計が求められます。そのため、設計には幅広いITに関する知識と、経験をもとにしたユーザー視点での最適化が欠かせません。

今後の傾向としてはIoT機器の高性能化に伴い、エッジに求められる部分が増えるのではと予測されています。

 

中小企業がIoTビジネスを始めるには

一部の大企業を除いては、企業単独で、IoTを活用したサービスを設計・開発することはほぼ不可能です。自社の提供する製品やサービスにIoT機能を追加する場合、まずは、自社製品とIoT機器ならびにクラウドサービスの3つの連携イメージを、ユーザーにも理解できるレベルの簡易な図に描くことから始めましょう。

その後、描いた図について、意見の食い違いが無いかを社内で最終確認しましょう。次に、図のどの部分は自社のリソース(人・技術・資金)で賄えるのかを整理しましょう。賄えない部分は協力してもらえるパートナーを探すことになります。特にクラウドサービスの部分については、ほとんどの場合でパートナー探しが必要となるでしょう。パートナーとは長い付き合いになりますので、技術力やコスト面だけでなく、トップ同士の人間関係や立地条件なども考慮に入れながら、関係を構築することが欠かせません。

パートナーを探すにあたっては、経済産業省が昨年からIoT活用に積極的に取り組んでおり、事例や中小企業でも使えるサービスの紹介などがネット上に公開されていますので、活用しましょう。最近は中小企業に合ったIoT機器も増えてきており、新しいアイデアを自社サービスに組み込むことも現実的になってきています。

IoT製品やサービスの全体図を描く際のご支援や、社内の合意形成に向けたワーキンググループの立ち上げ、あるいはクラウドサービスのパートナー探しなど、IoTを活用したサービスのスタートアップをお考えの方が御座いましたら、ぜひ当社にご相談ください。