医療費爆発をIoTで防ぐ


増加の一途をたどる医療費

日本はすでに人口減の時代に突入しておりますが、一方で医療費は増加の一途をたどっております。平成に入ってから国民医療費は2倍以上に増えているそうです。その間人口は3%増・GDPは約20%増ですので、医療費の増加のみが突出しているといえます。この傾向が続くことは避けられず、働き手が減る中で国の経済状態、しいては国民の豊かな生活にマイナスの影響を及ぼすことは明らかで、医療費削減に向けた取り組みが始まっています。

治療や介護に活躍が期待されるIoT

健康状態を管理したり、通常と違う生活行動を検知するために、IoTの活用が期待されています。誌面に取り上げられた取り組みとしては、高齢者の運転する自動車にGPS端末を装着し、急発進・停止や、長時間・長距離運転を検知して家族に知らせるサービス(オリックス自動車)の事例や、初期の認知症において歩行速度が下がる傾向があることに着目した、スマホのGPS機能を活用した認知症の予見装置(太陽生命)の事例などが紹介されています。尿量を把握するセンサーを取り付けて介護の質を上げる取り組み(SOMPOケアネクスト)といったものも掲載されております。IoT機器を使って様々な面で行動情報を収拾し、AIなどを活用して情報を分析することで、未病や介護負担の軽減することができます。

消費者の視点でのメリットは

医療費の抑制や介護負担の軽減など、提供者のメリットだけではなく、サービスを利用する消費者の立場でも、様々なメリットがあります。例えば、IoTを活用することで、何かあったときにスマホなどで知らせてくれるなど、安心感を得られます。医療の面でのメリットとしては、今まで定期的に受診しなければ知ることができなかった体の状態を、スマホやスマートウォッチなどで収集した活動情報を元に、いつでもアプリから得ることができます。介護の面では、離れたところにいる両親の行動状況を、住宅内の家電機器などにとりつけた IoT機器から収集することで、プライベートにも配慮しながら、把握することなどができるようになります。

独立系介護事業者や開業医がIoT活用に取り組むには

IoTを活用するとなると、高額の機器やツールの導入が必要と思われるかもしれませんが、IoT通信機器はLPWAなどランニングコストの低いものも出てきておりますし、スマホなど汎用的な機器を使ったアプリであれば、初期投資をほとんど行うことなくツールの利用を開始することも可能です。取り組むに当たっては、IoTを活用して目指す方向性、たとえば従業員の作業負担の軽減なのか、利用者自身へのサービス向上なのか、利用者の家族に向けたサービス向上なのかなど、方向を明確に定めて、一度に全てを得ようとはせずに、方針に資するツールを選ぶという流れでIoT活用の検討を進めましょう。IoTツールはあくまで目的を達成するための手段ですので、ツール選びから始めてしまうと、期待した効果を得ることは出来ません。またすべてを解決してくれる完璧なツールは存在しません。ITベンダーの言葉を鵜呑みにせず、事業者自身が主体性をもって活用に取り組むことで、IoT活用によって大きな効果を上げることができます。