宅配ピンチ 脱出のカギは三つのIT活用に


物流業界はピンチに陥っている

今や70%以上の世帯で利用されているネットショッピング。その便利さを陰で支える物流サービス事業者が苦境にあっています。主な理由としては、再配達や時間指定配送などサービスに対する品質要求が高まる一方で、労働時間が長いなどの勤務条件の理由から必要な労働力が確保できず、サービスとコストのバランスが取れなくなっているためです。Amazonの宅配サービス事業を請け負ってきたヤマト運輸がAmazonとの契約を打ち切ったニュースは、他の業界にも驚きをもって受け止められました。インフラとしての重要度を増す物流業界が、労働力減の時代の中で、新たな道を探し始めています。

 

今後の物流業界の動き

このような状況を打開するために物流業界は以下のような取り組みを始めています。

  • 過剰なサービス品質を見直し、利用者に受け入れられる範囲でレベルを下げる。
  • 再配達など、サービスに対する個別のコストを利用者に請求し、トータルではコストを上げる。
  • 個人事業者の利用など、今までとは異なる労働力を活用できる仕組みを構築する。
  • AIを用いて、輸送経路や共同配送などの効率的な業務計画を立てられる仕組みを構築する。

 

ITを活用した、今まで無い物流サービスが今後出てくる

誌面では、夜間配送のみを行うMagicalMove社のビジネスモデルや、配送依頼を集中管理して中小運送会社で業務をシェアする、ラクスル社の配車マッチングサービス「ハコベル」の仕組みなどが紹介されています。いずれも、ITを活用した情報のきめ細やかな管理によって、既存のビジネスモデルでは実現できなかったサービスを提供しています。従来は、大手運送会社が荷主から荷物を預かって、二次請け・三次請けの業者が実際の配送をおこなうといったピラミッド構造の中で業務が進められたのですが、ハコベルは荷主と実際の配送業者を直接つなぎ合わせることで、元請け・二次請けによる中間マージンが発生しないようになっています。

 

中小運送業者は今何をすべきか?

労働力減や過剰なサービス品質の見直しは業界として避けられない課題であり、従来のピラミッド構造のビジネスモデルは大きく変わっていくと予測されます。中小運送業者の立場では、既存の取引先との契約だけでは、契約する荷物量が減ったり、価格交渉にあうなど、ますます厳しい状況に陥るかもしれません。既存の取引は継続したうえで、試験的に、ハコベルのような新しいビジネスモデルを活用した業務と手を組んで、既存の取引先に依存しない柔軟性を身に付けておくことが重要だと考えます。自社が先導してビジネスモデルを作り出すよりも、既に変革に取り組んでいる事業者を探して手を組む方がリスクも低く、より現実的な選択肢となるのではないでしょうか。第一歩として、現在取り扱っている荷物の特性やサービスレベルを整理し、似た特性・サービス要求を持つ荷主を探すところから、事業の再構築を進めるとよいのではないでしょうか。