全能クラウド 歴史を変えた三菱UFJの決断


基幹システムを丸ごとクラウド化

システム導入に際して、自社でサーバーを運用するか、クラウド上のサーバーを使用するかを検討することが当たり前の時代となりました。以前であればセキュリティや停止リスクなどを鑑みて自社サーバーを選択するケースが多かったのですが、最近は大企業であっても、上記のようなリスクを鑑みたうえで、すべてクラウド上でシステムを稼働させるケースが増えてきました。今回の紙面では三菱UFJや丸紅、日本通などを事例に、クラウドの今を伝える内容になっております。

 

停止リスクはサーバー構成によって軽減させる

クラウドサーバーは、複数の顧客の利用する巨大なデータセンターで、高い稼働率で24時間365日運用されるわけですから、特に中堅・中小企業のサーバー運用レベルと比較すると、クラウドサーバーの方が優位であることが殆どです。自社にサーバーを置いた方が安心というのは、心理的な側面が大きいです。
しかしクラウドサーバーも、止まるときは止まります。実際今年に入ってから、AWS(アマゾンWebサービス)が北米エリアで停止する障害が起きたり、Azureの東日本リージョンが12時間にわたって一部サービスが使えなくなるなどの障害が起きています。クラウドサーバーの運用はアマゾンやマイクロソフトなどのクラウド事業者に任せることになるため、障害が発生した場合には、復旧作業もそれらの事業者に全て委ねることになります。停止リスクを軽減する策として、どれくらいの時間ならば停止を許容できるかを決めたうえで、それに合ったサーバー構成を選択することが推奨されます。構成パターンは自社サーバーを冗長化するときと似ていますが、データベースだけクラウド独自のサービスを使用するなど、クラウド特有の構成も検討に入れましょう。

 

運用監視の方法は自社サーバーと変わらない

サービスが適切に稼働しているか、必要以上に負荷がかかったり、普段発生しないエラーが発生していないかなどを監視するためには、運用監視ツールが利用されます。クラウドが普及する前は、運用監視ツールはクラウドに対応していないものが多かったのですが、現在は代表的なツールはほとんどがクラウドサーバーの運用監視に対応しており、クラウド・自社サーバーどちらも同じツールで横並びに監視できるようになっています。

 

中小企業はクラウドサーバーを利用すべきなのか

中小企業においてはもサーバーをクラウドに置くかどうかは、クラウドを前提として検討することをお勧めします。中小企業ではにIT専任者がいない事が多く、自社サーバーが適切に運用されておらず、人の出入りが容易な場所にサーバーが置いてあったり、電源が不安定であったり、熱の溜まりやすい場所に置いてあったり、監視せずに電源だけ入れて放置されているケースなどが見受けられます。サーバーの安定稼働という意味では、中小企業が管理するよりもクラウドに任せてしまった方が圧倒的に安定します。コスト面では、自社サーバーを買い上げたほうがトータルコストは低いですが、保守業務にあてる人的リソースや、サーバー保守契約費用など、運用コストまで含めて考えると、クラウドの方が安く済むケースが多いです。

 

セキュリティへの不安をどのように回避するか

必ず不安材料として挙げられるセキュリティへの不安やネットワーク遅延の問題については、しっかり情報収集した上で、許容できる範囲を決めて、リスクを回避し、場合によっては許容することも必要です。
セキュリティについては、すべての通信を暗号化する、自社以外からはサーバーに繋がらないようにして、社外からはVPNで接続するなどの対策をとることで、自社にサーバーを置くときと同等のセキュリティレベルを維持することができます。クラウド上での機密情報の漏洩を不安視する声を聴く事もありますが、クラウド上の別のサーバーに情報が漏洩するといったケースに発展することはほぼありません。そういった不安感の多くは、データが自分の目の届かないところに置かれるという心理的な側面が大きいのではないでしょうか。

 

ネットワーク遅延などのリスクをどう考えるか

自社サーバーにサーバーを置いた場合より、ネットワーク遅延でシステムの応答が遅くなることは避けられません。応答速度がどの程度なら運用に耐えられるかを明確にしたうえで、受け入れる必要があります。遅延の軽減策としては自拠点に近いクラウドサーバー(リージョン)を使用することや、複数のプロバイダと契約して二重化する、帯域を広げるなどがあります。